世界の武器類の中でも一際観るものを魅了して止まない日本の刀。機能を徹底的に追及し無駄を一切省いたその姿は、「用の美」ともいえるでしょう。
曲線と面が織り成す造形美、冴えた地鉄の煌めき、
そして変幻に富み絵画をも彷彿とさせる刃紋など、
まさに類稀無い鉄の美術品なのです。
また、単なる死傷の武器としてのみならず、日本の刀は古来より神の御霊代としても崇められており、
これが諸外国の刀剣には見られない日本刀の特異的魅力でもあります。あるときは邪気を退散させる宝剣と成り、またあるときは忌まわしい祟りを呼ぶ
妖剣といった様に、様々な伝説を残す日本刀。
熱田神社の神として三種の神器の草薙剣が奉られているように、大和民族がいかに尊厳と恐縮を以て、
刀剣に信頼を寄せ、心の支えとしていたかが容易に
測り知れるところです。
その幽玄にして神奥なる日本刀の美しさと強さは
歴史を経ていく中、武器の域を遥かに超越し、ある種の宗教的信仰にまでその存在を発展させ、それがひいては「大和魂」、「武士の魂」とまで形容されるに至っています。そして、それは今もなお我々日本人の心に息衝いているのです。 |